問題がないのか?という問題について
他の例で考えてみましょう。例えば「交通量があまり多くない通りに横断歩道があります。でも信号は赤です?あなたは渡りますか?」。いくつか対応が考えられると思います:- 車がこなさそうなら渡る
- 青になるまで絶対に渡らない
- 他の人が渡るなら渡る
- そもそも通りを渡るのはリスクがあるので外出しない(笑
- 文句をつけられなさそうならやる
- 侵害行為なのでやらない
- 許可を取る
- 他の人がやってれば自分もやる
- 物作り自体他人の権利を侵す可能性があるのでやらない
それぞれの判断内容や、「いや、横断歩道渡るのとは違うでしょ!」という意見もあると思いますが、ここで言いたいのは「けっきょく自分で判断しないと」ということです。
もともとの質問者の方は「問題があるかどうか」の答えを聞きたかったわけではなくて、「判断できないので判断材料、それぞれの考え方やリスク」を教えて欲しかったのではないでしょうか。ということでそれぞれのリスクや法的な処理について考えてみましょう。
法・ルールについて
TOSにはいくつか注目すべき点があります。- 1.2項ではLLはプラットフォーム提供者であり、その上で行われることのコントロールはしないこと
- 3項ではクリエイションの権利について
- 4.3項ではDMCAについて
ざっくり言うと「リンデンラボは環境を提供するだけなので、その中でやることは個々人で対処してね。プロバイダと同じで内容に問題があればDMCAあげてくれれば対応しますよ。」というところ。実際、迷惑行為の報告(Abuse report)での対応もこれに沿った内容になっており、例えばいわゆるコピーボットによる複製が通報された場合、ARでは複製を行った行為に対しての処罰は行いますが、結果としてできた複製物を削除することはしません。複製されたものが自身の著作物を侵害しているから削除して欲しい!という訴えにはDMCAを行う必要があります。
他のMMOなどでは「権利的に問題があるものを持ち込んではいけません」といった条項があったりするんですがセカンドライフには直接的にこれをうたったものはありません。(詐欺的と判断されたものは削除される場合もあるようですが)。
○○はどうなの?
「無償ならいい」「非営利ならいい」という意見を見受けますが、これは非常にアヤシイと思います。その著作物をどう取り扱うかは本来著作権者が決定するべき事項だからです。ライセンスが明記されていないのであれば、権利者の方に確認をする必要があります。「そんなのいちいち確認してらんねーよ!」と思った方、クリエイティブ・コモンズを調べてみてください。CCはライセンスを簡単に明確に表示することでコンテンツの再利用・共有を図ろうという意図も持っています。「パロディならいい」という意見、これはおそらく「フェアユース」を根拠にしているのではないかと思います。これに関する議論はまさに現在進行形なので判断は控えますが、個人的には「そこにクリエイティビティはありますか?」という話になるのかなと漠然と考えています。
ではどうしたらいいの?
最初の横断歩道ではないですが「自分で考えてください」。訴えられなければよいと考える人もいるでしょうし、そんな行為は自分の評判を下げるからやらないというのもあるでしょう。あくまでも許可を取りますというのもよい方法だと思います。リンデンラボのガバナンス担当の方がよく言っていたセリフですが「弁護士に相談してみては?」というのも手だと思います。個人的には、現時点ではLLの人手も圧倒的に不足してるので現実的に対応しきれないというのが実情だと思います。とは言え、セカンドライフの規模がもっと大きくなって経済的影響も大きくなれば、過去のYouTubeがそうだったように「データはユーザーがアップロードしてるんだから知らんよ」という話も厳しくなってくるのではないでしょうか。
それまで待てない!という方が啓蒙活動を行っている事例も多々見受けられます。過去にはセカンドライフ内でも「Get real!」というキャンペーンをHerman Millerが行っていたこともありました。これで解決!とはならないのがスッキリしないところですが、少しずつ改善していくしかないですね……。
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